英語脳という言葉から考えたこと
実はグーグルで検索するのが大好きです。
ん?と疑問に思ったことや言葉は、出先でもどこでもすぐググってみる。そうすると、色々なサイトが出てきて面白いのです。
英語で「ググる」とは、google it そのままです。
さて、日本語で英語の学習法をググってたら
近年よく目にするのが「英語脳」という言葉。
英語脳になると英語がペラペラになるとか。
ネイティブのように話せるとか。
そういった売り文句も見かけます。
そのたびに、英語がペラペラというのは実際なにがどの程度なのか、考えてしまいます。
ネイティブのように話すことは、難しいことではありません。
(ネイティブと一口にいってもどのネイティブを指すかということについては、とりあえずおいておきます。)
音楽を聞く様に、英語を音でとらえて、それをコピーできる耳の力があると、話すこと自体は難しくないのです。
ただ、15年近く英語を日常の生活で使っている私からみると、
ネイティブのように話すということは、ネイティブなみの文化的背景を知っているということが必要になってくるように思います。
それは、日本人で日本で教育を受けたら、たとえ話の時に、ポンとことわざや四字熟語がでてくる、そして周囲もそれで「理解できる」ような状況が、
英国だと、シェイクスピアの劇中のモノローグがポンっとでてくるような
そういった言語の後ろにある文化や知識をどれだけ蓄積しているか、にかかってくるのです。
英国で働いていた職場での話です。
直属上司の一人が日本人でした。
彼女は、10代の頃から英国に住み、最終学歴も英国の大学という30代の人でした。
中学くらいまでは日本にいたので、日本語や日本の文化に対する理解はほぼ日本で育った日本人と同じくらい。
そして多感な10代以降英語に囲まれて育ってきたため、電話越しに話しているだけでは英国人としか思えない英語を話す人でした。
その人でさえ、「英語がペラペラと自分を表現することはためらう」と言ったのには、上に挙げたような理由がありました。
10代以降英国にいたとはいえ、彼女にとっては、自分を形つくってきた文化的なバックグラウンドは日本や日本の文化なため、英語で話すということは、常に自分がまだ知らない種類の言葉や表現に出会う可能性が高く、それに対処できるスキルが必要だったのです。
もう一つ例をあげます。
私は、ドイツで二度出産しています。
産婦人科の先生は英語が話せる人だったのですが、あまりドイツ語を話せない患者さんを持ったことがなく、説明になるとドイツ語でいい?と聞いてくるような人でした。(ドイツ語で言われてももっとわからないので、あまり助けにはなりませんでしたが。)
普段は流暢に話す先生が、英語での妊娠出産用語になると知らないことが多く、私もそれこそ「子宮」という言葉すら、英語では知らなかったくらいなので、毎回の検診のたびに、お互いが知らない言葉、わからない表現のオンパレードでした。
私も、産婦人科医も、英語で問題なくコミュニケーションが取れる自信はあっても、妊娠出産という特殊な分野に関しては、これまであまり必要がなかったため、学ぶ機会がなく言葉や表現を知らないままできたのです。
外国語で生きていると、この必要なかったので、その分野の言葉は知らない。というシチュエーションは常について回ります。
それは英語をつかってビジネスをするときに、ビジネス用語自体は知っていても、どうでもいいような世間話になると、途端におたおたしてしまう、という状況にもあてはまります。
英語脳という表現は、「どんなシチュエーションでも英語で対応できる」状態を表すとしたら、当てはまると思います。
ただ、20年近く英語で生活してきた元上司でも、まだ自分は英語ペラペラとは言えない、ということは、外国人が英語脳を目指して英語を勉強するには、無理があるのではないかな?と思うのです。
英語がペラペラになるといいなぁ、と曖昧に思っているだけでは、使える英語は上達しません。
しかし、どのようなシチュエーションで、どのような英語が必要なのか?と自分の「必要度」の高いシチュエーションを重点的に、そして、言語としての英語だけでなく、英語表現の後ろにある文化的な背景や知識も学べる環境があると、使える英語が格段に伸びると思います。
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